「夜に降る」.pdf
深海に生きる不思議な植物の塗り絵です。
イソギンチャクのような、サボテンのような、
触角をもつ不思議な植物を描きました。
これはずっと昔から描いているモチーフで、
以前に、作品展や個展というかたちで絵を発表していたころにも
油絵や水彩画、ドローイングなどで作品として展示してきたテーマです。
海や湖の底で、真夜中にひっそりと泡をまとい
静かに息をしている植物のような動物のような生き物。
触角のようなものがゆらゆらと水のながれに揺れる。
そんなイメージです。
そして、
「なぜ、これを描いたの?」と問われても、
うまく言葉にできたことがなかったテーマでもあります。
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わたしが絵を描き続けた理由を振り返って自問してみると、
「ここではないどこか」に行くための手段、
だったように、今となっては思い返されます。
” Anywhere out of the world “
ここではないどこか、と訳されていたボードレールの言葉か
なぜか気に入り、あちこちに書いていた記憶があります。
うんと若かったころ幼かったころのじぶんの気持ちというのは、
覚えているようでいて、
じつは現在の自分が解釈と編集をかさねた
そのころの現実とは似ても似つかない何かなのだろうなとも思います。
泡のように浮かんでは消えまた浮かんでは消える、
想いと記憶を絵にとどめようとすると、
私はこういう形を描いてしまうのです。
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この「夜に降る」をふくめた新作絵画を、3月18日から5月7日までの期間
「空想植物図鑑2023春」と題し、オンラインギャラリーArtgeneで公開しています。
ご鑑賞いただけましたら幸いです。
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ブログ「塗り絵から絵画へ」のカテゴリーでは塗り絵を入り口として、画材の特性や技法、制作過程など、絵画表現にまつわることや作者の私見などをご紹介しています。
(※冒頭の画像では制作例として色をつけてありますが、PDFファイルでの印刷は白黒の線画になります)。
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