「雨もよう」.pdf
不思議な植物たちが雨に降られている塗り絵です。デジタルで着彩しました。
今回のテーマは、「塗り絵の輪郭線について」です。
結論から言うと、最終的には無くなっていくべき、と考えています。
塗り絵は輪郭線の線画なので、自己否定ともとれる発言になっていますね。
でも、本心でずっとそう思っています。
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今回の着彩例には輪郭がありません。
デジタル彩色(アイビスペイント使用です)では、レイヤーという層にわけて色塗りをするので、輪郭線を見せたり隠したりが簡単にできます。
輪郭線を見せるとこんな感じです。
いかがでしょう。
輪郭線がないほうが、「絵画」という感じがしませんか。
色塗りをして、最終的には輪郭線をなくす。
このことで塗り絵の可能性はぐんと広がっていくと思います。
輪郭線がある作品は「ああこれは線にそって色塗りをしたのだな」と暗に感じさせてしまいます。「線画+色」の表現に見えるので、塗った人の作業は絵の中の2分の1に見えてしまうのですね。
輪郭線が無ければ、力強さ、柔和さなどの筆触が前面にあらわれます。塗った方の個性が作品に出るのです。
ぬりえラボで公開している塗り絵は、このことをふまえて出来るだけ細く、抑揚のない主張しない線で描くようにしています。塗る方によって全く違った雰囲気の作品になるようにしたいからです。
でも限界はあります。やはり輪郭線はないほうが個性が生きて、魅力的な画面になると考えます。
そしてもっと言うならば、輪郭線も自分で描いてほしい。そうすればすべて自分の表現です。目指すところはオリジナルな絵画。塗り絵の指導をしながらも目標はそこなのです。
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デジタル着彩の例を述べてきましたが、紙に印刷して色鉛筆やマーカーで色塗りする場合も、やり方はあります。
印刷した塗り絵の上に、トレーシングペーパーという半透明の紙をのせて着彩する方法です。
薄手のものは1枚10~20円程度。文具屋さんにありますし、100枚単位で通販でも購入できます。
厚さもさまざまで、名刺に使えるようなかなり厚手のものもあります。塗り絵に使用するものは厚手のタイプがおすすめです。
四隅をテープでとめると色塗りがしやすいです。濡れるとかなり伸びるので水彩には向きません。
完成した画面は塗った方の引いた線、塗った色面だけになり、個々の魅力だけがひきたちます。
そのまま透けた状態で見せても綺麗ですし、白い画用紙を下にひいて額装すると展示作品としても美しいです。
館内展示を予定されている担当者の方にはお勧めのやり方です。ぜひ一度お試しください。
(外部コンクールに出品される際に当サイトの画像をお使いいただいても大丈夫ですが、「下絵にぬりえラボの画像を使用」または「ぬりえラボの画像を転写し着彩」というように、純粋なオリジナルの作品でないことを明記してください)。
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ブログ「塗り絵から絵画へ」のカテゴリーでは塗り絵を入り口として、画材の特性や技法、制作過程など、絵画表現にまつわることをご紹介しています。
(※冒頭の画像では制作例として色をつけてありますが、PDFファイルでの印刷は白黒の線画になります)。
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