「森を歩く」.pdf
天使が森を歩いている様子を塗り絵にしました。
スケッチブックに描きためたイメージスケッチから塗り絵をつくるシリーズです。
以前紹介した、コンテという画材で黒の線を描き、
水彩画で色を付けた原画に、デジタルで加筆しています。
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人物、めずらしいかもしれません。
でも、ずっと描いてきたテーマのひとつでもあります。
人物ばかり描いて、発表していた時期もありました。
なぜ、人にお見せすることがすくなくなったか。
ふりかえって思うに、誰を描いていいかわからなくなったんですね。
想いを込め得る人物像がわからなくなった。
ヒトを描くには、髪型とかコスチュームとかの設定がいります。
ヌードならヌードなりの意味付けがされる。
さて誰を描くかとなったとき、描きたい人物像がわからなかったのです。
描きたいのは表情と、手のしぐさ。
それはとても描きたいのです。
でも服を着せるということは男女も年齢も限定することになり、、、
たとえば流行のものを着せれば数年で古く見えてしまう、
なんてことも考えていた。
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そして最近、イラスト制作のご依頼があり、
リクエストの中に、「天使」と「観音様」というのがあった。
う~む、自分では選ばないテーマです。
ギリシャ神話の神々とか、エジプトの王様とかは
資料みながら、ふんふんと描けるんです。抵抗なく。
なんででしょう。自分から遠いからでしょうか。
でもなんというか、キリスト教と仏教って、
自分の中にハードルがあるのを自覚しました。
でもでもそこはお仕事の依頼。前向きに描きこなすことを目指します。
いろいろ資料にあたって、調べたりプリントして眺めたり。
そして発注主さまにご納得いただけて提出後、
私の中に残りました。天使と観音様が。
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そして、人生で必ず出会わなきゃならない
どうにもならないこと、が絶賛進行中の昨今。
自分の、人間の無力さに直面するとき、
できることは「祈る」だけ、という状況になるわけです。
その心情のわたしに現れた、天使そして観音様のイメージ。
頭と手に、いっぱい考えた天使のポーズと表情が
たーくさん像として残っていて、
それは自然にスケッチブックに流れ出てきました。
そして描いている時間、描くこと自体が、
気持ちを落ち着けととのえてくれる、
私にとっての、祈りのような時間になっています。
塗り絵制作や制作のご依頼を通じて、私自身が変わっていく。
そのことがとても豊かで
とても面白いなあと感じているのでした。
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ブログ「塗り絵から絵画へ」のカテゴリーでは塗り絵を入り口として、画材の特性や技法、制作過程など、絵画表現にまつわることをご紹介しています。
(※冒頭の画像では制作例として色をつけてありますが、PDFファイルでの印刷は白黒の線画になります)。
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